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革の種類と品質。本革とは(Genuine Leatherとは)

更新日:1 日前

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 結論から言うと、本革(Genuine Leather)とは動物の皮を鞣した革という意味であり、どの動物の革か?革のどの部位かは分かりません。語源は英語のGenuine Leather(ジェニュインレザー)をそのまま和訳し本革という言葉が日本に広まったのではないかと考えられます。
 
 本革の説明に関して日本のサイトは間違いが多く、革を製造している工場も間違って認識していることが多いです。また消費者庁に確認したところ本革の表示基準はありません
 革の技術は海外から日本に伝わった物が殆どであり、革の説明は海外(EU・US)サイトを見た方が間違いありません。本サイトは海外のタンナーと直接取引する際に説明を聞いた内容と・海外サイトを参考に説明します。

革の断面層による3種類の分類グレードと本革
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 革は分厚い場合裁断して使用することも多くあります。その部位によってグレード・耐久性・価格も大きく変わるのです。その種類は
  1. フルグレインレザー、
  2. トップグレインレザー、
  3. スプリットレザーの3種類。
ジェニュインレザー(本革)はその3種類すべて含みます。
 三種類の品質・価格に関して、スプリットレザーは品質・価格が一番低いことは間違いありませんが、その他2種類は殆どのサイトでフルグレインの方が耐久性・価格とも高いと説明しています。しかし実際取引・使用してみるとフルグレイン・トップグレインどちらが上ということはありません。どちらが優れているかは物(なめし技術・動物・肩や腹などの部位)によって違うということです。
 画像を見ると革の範囲で名称が違うと勘違いしてしまうかもしれません。スプリットレザーに関しては画像の範囲すべてスプリットレザーですが、フルグレインとトップグレインは範囲ではなく革外側部分の加工・処理方法の違いによって名称が決まるのです。詳しくは各レザー(革)の説明をご参照ください。

日本語での分類

フルグレインレザーは日本語で『銀面』。ではトップグレインレザーはというと日本語で『銀面』です。実はフルグレインとトップグレインの二つを分ける日本語は無く両方とも銀面なのです。スプリットレザーは日本語で床革(床面とは違うのに注意)と言います。

①フルグレインレザー(Full Grain Leather

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 フルグレインレザーとは革の最上層(外側・皮膚側)部分であり、欠陥(キズなどの模様)を取り除く研磨や加工は行わない為、皮膚の自然な質感と模様が保たれています。これによりレザー独特の外観と耐久性がありカジュアル系・ヴィンテージ系のベルトやバッグに使われます。革製品が好きな方はフルグレインレザーを購入する方が多くトップグレイレザーと同様レザーの中で最も高価です。
・メリット:革独特の表面・質感。経年変化。耐久性(メンテナンスすれば一番丈夫)。
・デメリット:オイルなどのメンテナンスが必要(しなくても大分もつ)、耐水性

※革の欠陥とは

天然素材で革の証である『シボ』『トラ』『血筋』『バラ傷』の事であり唯一無二のデザインです。
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シボ

革の表面の細かなシワのことです。シボの形・大きさは革の繊維の密度などによって変わります。ショルダーレザーは部位によって繊維密度が違う為、様々なシボ模様が見られます。

トラ

皮にはシワやたるみがあります。その肩の皮を鞣し平らな革にすると、シワの部分に染色のムラによる、シマ状の模様ができます。この模様が虎の模様に似ていることからトラと呼ばれています。

血筋

血筋とは血管の跡が革に残ったものです。人の体と同じで部位によって血管の浮き出やすさが異なる為、革一つ一つ違った表情を醸し出します。これは革の個性として長年愛されてきた天然皮革にしかない本革の証なのです。


バラ傷

牛が生活するうえで体を柵や木などにぶつけたり、ケンカをしたりすることで皮に傷がつきます。この傷が革に残ったものが『バラ傷』です。特に放牧で育った牛はバラ傷が多くその牛の生きてきた証を感じることが出来ます。

②トップグレインレザー(Top Grain Leather)

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 フルグレインレザーにある欠陥(キズなどの模様)を取り除くための研磨や加工を行った革をトップグレインレザーといいます。その為キズなどの模様が無く(少しある物もある)見た目がキレイです。主にビジネス・フォーマル・ドレス系の商品に使用します。フルグレインレザーと同様レザーの中で最も高価です。
・メリット:経年変化(フルグレインほどしない)。耐久性。
・デメリット:オイルなどのメンテナンスが必要(殆どしなくても大丈夫)。耐水性

トップグレインレザー商品:https://www.noesark.tokyo/italian

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③スプリットレザー(Split Leather)

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 分厚い革を何層(通常は2層)かに裁断した際の一番外側(皮膚側)の1層目以外の革をスプリットレザー(Split Leather)と言います。他のレザーと比べて耐久性が劣る為ポリウレタンなど樹脂を表面にコーティングし、耐久性を高める加工をされる場合が多いです。その為見た目が合成皮革と変わらない物もあります。
メリット(ポリウレタン):シワになりにくい。水に強い。手入れ不要。
デメリット(ポリウレタン):耐久性が弱い。日光に当てすぎると剥げる。

スプリットレザー商品:https://www.noesark.tokyo/allblackbelt

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ジェニュインレザー(Genuine Leather)・本革

 上記で説明した通りジェニュインレザーは①フルグレインレザー・②トップグレインレザー・③スプリットレザーの全てを含みます。また消費者庁のホームページ上本革に関しての定義はありません。商品として実際に『本革』『ジェニュインレザー』と材料表示されているものは『①フルグレインレザー』か『②トップグレインレザー』が多いように感じますが、スプリットレザーを使用している商品もあります。アメリカでジェニュインレザーと表記されているものはスプリットレザーが殆どです。

レザー3種類の見分け方

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・フルグレインレザーは『不規則なキズや模様』『表面が基本滑らかではない』。
・トップグレインレザーは『キズや模様が殆ど無く表面が滑らか』『表面にシボ加工などをしている場合は規則性のあるデコボコした模様があり滑らかではない』。
・スプリットレザーは表面にポリウレタン樹脂をコーティングしている場合『表面がツルツルと滑らか』『水を弾く』『規則性のある模様or模様なし』。

表示ルール(消費者庁)
 正直商品の表示ルールは曖昧です。ネット販売では革の種類を詳しく説明している商品がありますが、店頭販売では『牛革』などの表記しかない為ご自身で判断するしかありません。どのようなルールなのか消費者庁(景品表示法・品質表示法)の内容を下記にまとめます。
・牛革:牛の皮をなめした物。フルグレイン・トップグレイン・スプリットのどれかは分からない。
・本革:表示ルール無し。一般的には牛の本革であれば牛革と全く一緒。馬の本革であれば馬革と全く一緒。
・床革:鞄には床革と表示必要だがその他の革製品には不要、床革も牛革などと表記される。
・銀面(フルグレインorトップグレイン):表示ルールなし
・合成皮革:天然の革(フルグレイン・トップグレイン)に似せて作られた人口素材のこと。布地の上に合成樹脂(プラスチック樹脂)を塗ることで、天然の革のような質感を再現したものです。表面には、天然皮革に似せたシワや模様を人工的に作り出しています。

表示ルール参考URL

まとめと補足
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 上記で説明したように表示ルールが曖昧であり、フルグレインかトップグレインかは自身で見て判断するしかありません。店頭販売の場合スタッフに聞くという方法もありますがあくまで販売スタッフであり革職人ではない為そこまで詳しくは分からないと思われます。
 正直こんな曖昧なルールで良いのか?と思う方も多いと思います。その為消費者庁に問い合わせてみました。質問した内容は以下です。
①ベルトの表面に床革を使っているのですが、牛革のみの表記で良いでしょうか?また本革と表記しても良いでしょうか?
 回答→消費者が分かりやすいよう牛床革と表記するべきです。
②床革は牛革のみの表記ではいけないのでしょうか?
 回答→消費者が間違わないように表記する必要があります。

その後②の質問を何度かしましたが同じ回答でした。上記参考URLも参考にまとめると、バック以外の商品で床革を使用した場合、牛革の表記は必要ですが床革と表記する必要はないのです。また本革と表記することも違反ではありません。

 正直商品表示に関しては革以外も曖昧です。例えばmade in Japanに関しては最後の工程(組み立てなど)が日本で行えば材料が海外でも表示することが出来ます。その為商品表示を充てにし過ぎず品質を見極めるようにしましょう。

 
 
 

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